#5 胃がイタリア語について

 

前回は汚い話を全世界に向けて公開してしまったので今回は普通の話にしようと思う。

 

イタリア語について。

 

金曜四限。これが憂鬱で仕方ない。

イタ語しか話せないイタリア人ことリモンジェッリがスパルタ気味に授業する90分。

しかも風貌がスキンヘッド+タトゥー?でなかなか厳つい。

イタ弱にとっては腹痛にも勝るとも劣らない苦痛である。

 

昨日はまずプリント4枚配られた。

手でものを払いのけるようなジェスチャー

教科書や辞書、携帯を片付けろということである

「コミンチャーレ〜…」

聞き取れなかったが問題ない。解きはじめろということである。

とりあえず解きはじめて20分ふと疑問が生じる。

「これ何解けばいいんや…?」

確かに選択肢を選ぶ問題は数問ある。しかし15分もあればできるようなレベルで、あと載ってるのは会話練習とかリスニング。

早くも終わった学生が顔を上げて様子を伺っている。

自分も前の人の答案をチラ見してみるがまだ解いてる様子である。

とりあえずポケットに忍ばせていたスマホを取り出し、呟く「あと63分」

スマホをしまい、顔を前に上げてみる。

イタリアマフィアがこちらを伺っている。危ない。僕は何事もなかったかのような顔でプリントを睨む。

僕は偶然目があったそんなに仲良くない学生と無言のアイコンタクトを続けてるうちに彼もこの時間を持て余してることに気がついた。疑問が確信に変わった瞬間だった。

そうしてしばらく解いてる感を出しつつも白黒コピーの絵にぬりえしてると隣の子が寝始めた。やはり解くべき問題はそんなにないのだとここでも確信する。

45分あたりであろうか、リモンジェッリがみんなに尋ねる。

「…アイ フィニート…?」

終わったかということである。

少しでも授業されたくない僕達は無言で通じ合った。みんな解き続けてる"フリ"を続けたのである。その後はジリジリと時が過ぎて行くのを待ちかながら「あと45分」「あと21分」とこまめに呟き、かつリモンジェッリに怪しまれないよう「この問題、思い出せそうなのにどうしてもわかんないんだよね〜★」感を出す。

ラスト数十分でリモンジェッリが新しいプリントを配り始めるももう後の祭り。今日のスパルタ会話練習がないのが確定した瞬間である。

 

僕は勝利と90分間の無生産を噛み締めながら

「わからんかったところは家に帰って調べてやればいいやー」と思ってたところ、

プリント回収のジェスチャー。終わった。

『わからないのにひたすら当て続けられる憂鬱』その試練は来週に引き伸ばされたのである。

 

しかしそれは一週間後

僕は帰りの用意をしながら「今週末映画なにみようかな〜」

なんて最高の開放感に包まれていた。

 

帰り際、リモンジェッリに、

「Arrivederci!!」

それはもう心の底からの笑顔で言えていたと思う。強制収容所からの退却さながらである。

 

 

 

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イタリア語自体は好きで、イタリアが好きなのは間違いない。

イタリア語を選択した理由は以前Facebookにも書いたが

「イタリアの呑気さに憧れがあったから」

人と違う言語を選択したい欲望も否定しきれないが

純粋にイタリア文化が好きだった。

 

一回生のうちはなんだかんだ楽だった。

金3金4と連続であることを除いては。

授業で観た『La vita è bella (Life is beautiful )』は素晴らしく面白かったし、

イタリア人のネンチェッティ先生も日本語理解できるからなんとかなった。

 そんなぬるま湯に、二回生になるとイタリアから最強の刺客が送られてきたのである。

彼の特徴はなんといってもイタリア語以外で意思疎通を図れない。

当てられてわからない状態が続くとキレるのである。しかも逃してくれない。

 

こうして毎週金曜日が近づくと胃を痛め、

金四が終わった瞬間は開放感に包まれるのである。

 

 

 

イタリア語選んだ代償は意外にも大きかった。